食べることは体・心・知能とつながっている

食育の目標=生きる力を育てること

食べることは、体・心・知育とつながっている

「食育」という言葉が、盛んに使われるようになった現在、食育は単に、栄養の教育ではなく、「食を通して人間として生きる力を育む」役割を担うようになりました。

「食べる」という行為は、生きるための基本的な営みです。毎日口にする食べ物が、私たちの体をつくり、成長させ、活動源となり、病気に抵抗する力を生み出します。しかし、単に食べるだけではなく、「考えて食べる」ことが必要になってきます。これからの食育では、こうした考えて食べることができる力を身に付ける=生きる力を育てることが重要になってきます。

また、もうひとつ忘れてはならないのは、食が心や知能を形成することです。誰かのために食事を作り、ともに味わうという日々の繰り返しの中で、心の絆が生まれ、子どもは心を安定させ、成長していきます。また、人としてのマナーや文化を身につけるのも、食の役割といえるでしょう。食は、ヒトとヒトとをつなぐ、大切なコミュニケーションの場でもあるのです。

食べ物があふれている今だから必要な食育

ひと昔前まで、子どもたちが「家族とともに囲む食卓」は、体・心・知育を育む場として機能していました。生活の場の周辺には田畑や家畜小屋、漁場があり、命ある食材の姿を通して、大きな自然の循環の中での命について、人間について、そして、自分自身について考える機会を多く得ていました。

しかし、ここ半世紀ほどの間に、食の世界は大きく変化し、調理加工された食材がいつでも手軽に手に入るようになりました。とても便利なことではありますが、命ある食材が見えにくくなってしまいました。そして、食の本質を知らないまま育った子どもたちは、これからもそうした食を当たり前のものとして大人になっていくのです。また、家族そろって手作りの料理を囲む機会も減ってきています。

食べ物や人への感謝の気持ち、食文化やマナーの伝承もうすれ、食べることが生きるための基礎であることを忘れかけてはいないでしょうか。現在では、子どもの肥満や生活習慣病が増え、心の安定を欠く子どもも少なくないといいます。

そのような時代だからこそ、幼児期からの適切な食育が必要なのです。小さいころからきちんと「食」の意味を伝えていくことは、子どもたちの未来、命の尊厳に対する大人の責任といえるでしょう。

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  1. 自分にとって望ましい食卓の選択が、自らできるようになる
  2. 調理を通して生命の重さと不思議を知る
  3. 食を科学的に探究し、考える力を身につける
  4. 人間として愛や信頼感を育む